サウナではお静かに!
「ごめんなさいね、やかましくて」
「いや、大丈夫です」
このくだりは2回目だった。
やかましいと自覚しながら世間話はやめられない、しかもそのお婆ちゃんは友人同士で来てるのではなく一人で来ていて、「黙っていられない」タイプのサウナーは割とどこにでもいる。
何度も謝ってくるところを見れば、お婆ちゃんも過去に指摘されたこともあるんだろうけど、私としてはそれがいけない行為だとは思わない。
ただ、座禅くんで瞑想モードに入ってるのに、そうやって話しかけられたりする方が面倒くさい。
サウナは一種の格闘技なのだ、サウナは修行なのだ、サウナは、サウナは、、。
「それでね、あのドラマはよかった。恋は続くよどこまでも」
コロナの話、柔軟体操の話、最近できた蕎麦屋、オリンピック、話はどこまでも続く。
「あの子がええ」「せや、あの子はええ」
「あれと、朝ドラ出とった子」「吉沢?」「吉沢亮」
「あの子もキレイや」
「あの子の方がキレイやけど、なんちゃらタケルのほうがワイルドや」
「ほんまキレイや、どうやったらあんなキレイな子が産まれるんや」
「なぁ」
そうか、吉沢亮くんは仮面ライダーメテオの時からあたしは絶対ブレイクすると目をつけてたが、意外と年齢に関係なく「イケメン」の基準は変わらないのだなと瞑想の中思う。
まぶたの裏でぐるぐる回る。
「んで何タケルやった?」
「えーと あの子は」
ババァたちが黙る。 佐藤健でしょ 言いたい。
「あの子は」
「武井壮?」
ワイルドが勝ってるんじゃねーよ!!